サスペンス ノワール

果てしなき渇き

果てしなき渇き

果てしなき渇き あらすじ

部屋に麻薬のカケラを残し失踪した加奈子。その行方を追う、元刑事で父親の藤島。一方、三年前。級友から酷いイジメにあっていた尚人は助けてくれた加奈子に恋をするようになったが…。現在と過去の物語が交錯し、少しずつ浮かび上がる加奈子の輪郭。探るほどに深くなる彼女の謎。そして用意された驚愕の結末とは。全選考委員が圧倒された第3回『このミス』大賞受賞作品。読む者の心を震わせる、暗き情念の問題作。

果てしなき渇き レビュー・感想

著者、深町 秋生のデビュー作。
そして完全に自分がやられた世界観。これで処女作だというの恐ろしいくらいの完成度。

分かりやすくハードボイルド・サスペンス・ノワールなのだが、とにかく暗くて濃い、そして後半に向けてのスピード感と日常→非日常への切り替えが秀逸。
日本人のハードボイルド・ノワール系作家では馳 星周が大好きなのだが、それに匹敵する面白さ。

内容としてはあらすじにあるように、失踪した娘の加奈子を追う元刑事で父親の藤島が主人公なのだが、嫌悪感を抱かせる彼の狂った愛憎がまったく共感できず、それが更に彼の狂気を生み出していて良い。

ストーリーが過去と現在をオーバーラップして進行していく。
数々の登場人物が登場し、徐々に娘の加奈子の考えていたこと、行動してたことが明るみになってくる。
過去も現在もどちらのパートも特徴的で続きが気になるサスペンス風の構成も読みやすい。
この誰もが幸せにならない物語、良いなぁ。

ちなみに映画版『渇き』を観たが、原作からすると相当残念な出来だった。
方向性を誤ったのか何故かタランティーノ風OPから始まるエンタメ系作品となってしまっていたため、原作の持ち味だった暗さや怖さ、エグみが取れてしまっていた。
未聴の方は期待しすぎないようにご注意を。

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