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東京スタンピード

東京スタンピード

東京スタンピード あらすじ

世界恐慌にピークオイルショックが重なり、不安が蔓延する2014年の日本。テレビ制作会社でディレクターとして働くロスジェネ世代の伊沢は、通り魔殺人のニュースを見た直後、集合無意識研究所の加藤という男から「事件は虐殺の予兆です」との電話を受ける…。感染する恐怖と憎悪、高まるセキュリティ意識、煽るメディア―僕らの集団暴走=スタンピードはもう止められない。2014年、東京。大虐殺が勃発する。「放送禁止歌」「A」「死刑」の森達也が予見する戦慄の近未来。

東京スタンピード レビュー・感想

突然東京で大虐殺が始まる。しかも、それが何か事件を契機にしたわけではなく、様々な要因から成り立った「集合無意識」によって…。

2017年現在はそんな大虐殺は引き起こされていないが、実際には統計として年々犯罪率が減少しているのに、既存メディア・ネットメディア・SNS含めて、あちらこちらで"炎上"が起こり、正義の名のもとに叩ける相手をひたすら叩き続ける、過熱気味で異常な事態となっていると感じている。
作中では何でもない普通のオジサンやオバサンである"大人達"が自警団を作り、街中の不良っぽい見た目の少年たちにヒステリー気味に集団でバットで殴りかかったりする描写があるが、危険を煽り続ける報道やそれを真に受けすぎる状態に対するカウンターとしても読み取れる。

このような大虐殺が起こる未来にはなってほしくないが、このままセンセーショナルに危機を煽り続けるメディア、それらに考えもせずに乗ってしまう人たちばかりだと、先行きは不安。
著者が警鐘を鳴らしたくなるのも確かに分かる。