屍者の帝国 レビュー・感想
早逝の天才の遺作を盟友が引き継いだ作品。傑作『虐殺器官』に比べると個人的に衝撃度は足りないが、機械の代わりに演算をし、ニンゲンの代わりに戦争すらも代行する存在となった屍者たちが、ヴェルヌ的スチームパンクな世界観の中で動き回る。ワトソン、フランケンシュタイン、カラマーゾフなどなど、歴史的人物オールスターで幻想的な世界を楽しめる。伊藤 計劃が死ぬ間際に、死んだ後も動く屍者について小説を書くとは何とも…。エンターテイメントとしても十分楽しめるが、途中で少し中だるみして読み進めるページの手が止まりがちだったなぁ。