ヒステリック・サバイバー レビュー・感想
日本で学校内でのスクールカーストをいち早く取り入れた問題作。
主人公である和樹はアメリカの学校で発生した銃乱射事件の生き残り。
帰国した平和な日本で学園生活を過ごすはずだったのだが、入学した学校内はスポーツが得意な体育会系生徒たちが幅を利かせており、いわゆる”オタク”と呼ばれるあまり活発ではない生徒たちと両グループは事あるごとに対立していた……。
この出だしからもうワクワクですよ。
「スポーツをする人は精神も良い!頑張って結果を出せ!」と地域住民、保護者、教員など大人達から大いに期待をされている体育会系生徒たちだが、逆に大人たちの期待がプレッシャーとなり、結果を残すために彼らも練習に必死になっている。
その裏で「キモイ・趣味が合わない・価値観が違う」と"スポーツをする自分たち側"とは別の"オタク系"人種たちをストレスのはけ口かのように虐めている。
この学校と言う閉じた世界をメインとしているが、この手の閉塞空間内での対立は今の日本の至る所で起こっているであろう。
"閉じた学校内の世界"と"開けた学校外の世界"が相互にリンクしつつストーリーに絡んでくる。
何より主人公、オタク側の面々、スポーツ側の面々、不良組、と血肉の通ったキャラクター達が多数いて大満足。
是非、今リアルに高校生活を送っている人にも読んで欲しい作品。